評価額でモメる不動産相続の弁護士

評価額でモメる評価額でモメる

不動産の評価は遺産分割の山場

相続ではよく、不動産の評価額が問題になります。
父親が亡くなり、母親が一人で住んでいる実家を、遺産分割においてどのように評価するかが問題になった事件がありました。長女、長男、次女の3人が相続人です。長男が生まれ育った家を相続し、姉と妹には代償金としてある程度のお金を渡す方向で話し合っていました。ところが、その代償金の金額でモメたのです。

長女は独自の方法で実家の不動産を4700万円と評価し、その3分の1にあたる金額を代償金として要求してきました。長男は「路線価」に基づいて、実家を3300万円と評価しました。さらに地元の不動産業者に依頼をして不動産の査定も出してもらいました。それもやはり「路線価」と同じような価格3500万円と評価されました。長女が提出してきた評価額との差は1000万円以上。同じ不動産でも評価方法によってこれほど差が出るのです。まったく折り合わないので、結局不動産鑑定士に評価を依頼するという提案まで出ましたが、不動産鑑定士に支払う報酬は50万円以上にもなる可能性があり、最終的には長女が主張した価格で妥協をしました。

不動産の評価は、遺産分割の中でも特に重要な協議事項です。
不動産に対する強い思い入れがある場合は、相場よりも高額で土地を評価してしまいがちです。とはいえ現在の不動産市況は買い手有利。そうそう高くは評価されませんし、思い通りの値段で取引されることは稀でしょう。遺産分割で不動産を取得する相続人にとってみれば、不動産をできるだけ低く評価して代償金の金額を抑えたい、むしろ不動産の価値が低いと主張し、その他の財産をもっともらいたいと考える場合も。一方不動産を取得しない相続人にとってみると、不動産をできるだけ高く評価して、受け取る代償金を高くするために、不動産の価値がそんなに低いわけがない!と主張するのです。

どのように不動産を評価するのか

このような混乱は不動産の評価基準が一つではないために生じます。
どの方法をとるかでモメる可能性があります。
同じ不動産に対していくつもの評価基準があると聞くと、戸惑いを覚える方も多いはずです。
相続においては、不動産の評価基準として、実勢価格(時価)と相続税評価額(路線価)がよく登場しますので、最低でも押さえておく必要があります。
相続税の計算においては、不動産は実勢価格(時価)ではなく路線価により評価されます。相続開始時(被相続人の死亡日)の評価が基準になります。たとえば、平成25年に相続が開始した場合は、路線価も相続税の申告時ではなく平成25年分の路線価を基準に計算します。

一方、遺産分割においては相続開始時ではなく、遺産分割時の不動産の実勢価格(時価)で評価されます。遺産分割に時間がかかって、不動産の価格が相続開始時(被相続人が死亡した日)よりも乱高下したとしても、最終的に分割する時点での時価で遺産分割がなされます。
遺産分割は相続人全員の同意で成立しますので、財産の評価についても相続人全員が納得すればよく、必ず、こうして評価しなければいけないというものではありません。それぞれの評価方法に従って評価された額を目安(ものさし)として遺産分割協議の中で話し合って決定します。

よくある話として、遺産分割の際に、税理士が作成した相続税申告用の財産目録を持参して、税務署に提出した正確な数字だからとって、当然にこの価格で分割を進めようとする方がいらっしゃいます。税理士が作成し相続税申告用の評価額が、遺産分割においてあたかも絶対かのように主張してくる場合がありますので注意が必要です。

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