不動産賃貸借トラブル不動産相続の弁護士

1.借地借家トラブル不動産賃貸借トラブル

土地を建物所有目的で貸す場合(借り手が建物を建てる)には、賃借権(建物の登記をする)または地上権(地上権の設定登記をする)が設定されることになります。
建物所有目的の賃借権および地上権のことを借地権と呼び、借地借家法が適用されます。なお、借地借家法(または旧借地法)が適用になるのは、あくまで建物所有の目的で貸す場合であり、建物を建てない資材置場や、駐車場として車の駐車のために貸す場合などには、借地借家法(または旧借地法)の適用はありません。また、無料で貸した使用貸借の場合にも、借地借家法の適用はありません。一時使用の場合、借地借家法の適用はありますが、存続期間や更新などの重要な部分の適用はありません。

借地権は、普通借地権、定期借地権、自己借地権、一時使用目的の借地権に分類されます。
普通借地権は、正当事由条項の適用を受け、更新することが可能な借地権です。定期借地権は、正当事由条項の適用を受けず、一定期間の経過により消滅する借地権です。自己借地権は、土地所有者自らが、自己の土地に借地権を設定するものです。一時使用目的の借地権は、一時使用のために設定された借地権で、存続期間、契約の更新、建物買収請求権、借地条件に変更および増改築の許可、更新後の建物再築の許可、定期借地権の規定が排除されています。

(1)借地トラブルの原因

借地契約とは、土地を借り、その土地を使用収益する契約です。借地人は地代を支払い、地主は土地を使用収益させる義務を負っています。
なお、借地契約の主なトラブルは、次のようなものが考えられます。

  • 賃料(地代)をめぐる争い
  • 契約の更新をめぐる争い
  • 借地の用法変更をめぐる争い
  • 借地権の譲渡をめぐる争い
  • 定期借地権の設定・運用の争い

地主と借地人との間のトラブルが話し合いで解決しない場合、最終的には民事訴訟で解決するしかありませんが、地代の増額、減額を請求する場合には、まず調停を申し立てることになっています(民事調停法24条)。

また、借地に関する問題の紛争解決法として、借地非訟事件手続きがあります。これは、借地人と地主との利害調整を図るもので、借地人の申立てにより、地方裁判所(簡易裁判所の場合もあります)が地主に代わって借地人に借地権に関する許可を与える手続きです。

具体的には、

  • 借地条件変更の申立
  • 増改築の承諾に代わる許可申立
  • 建物の任意譲渡に伴う借地権譲渡・転貸許可の申立
  • 更新後の再建築について地主の承諾に代わる許可の申立

などがあります。

(2)借家トラブルの原因

借家の利用は、賃貸人と賃借人が対等な立場に立って、契約という形でその根拠が与えられます。これを「借家契約」あるいは「建物賃貸借契約」といいます。したがって、一戸建ての家屋はもとより、アパートや賃貸マンション、貸店舗なども借家契約です。なお、借家契約の法律については、民法とその特別法である借地借家法などに規定があります。

借家契約の主なトラブルとして、以下のものが考えられます。

  • 家賃の増減についての争い
  • 契約更新をめぐる争い
  • 使用方法をめぐる争い
  • 集合住宅の利用をめぐる争い
  • 契約更新と更新料をめぐる争い
  • 敷金・保証金をめぐる争い
  • 修繕をめぐる争い

家主と借家人との間に紛争が起きた場合に、解決を困難にする大きな理由は、感情的なもつれからであることも少なくありません。当事者が話し合い、それでも解決しない場合には、調停を申し立てて、調停委員の斡旋を受けるとよいでしょう。

賃料トラブルで供託された場合、契約解除を行うことができるのか不動産賃貸借トラブル

戦前、父の代から160万㎡の土地を店舗兼住居所有目的で貸しています。ある時、公租公課の値上がりによって、賃料を月額12万円に増額請求したところ、借主は、公租公課の額を下回る月額6万円の額が相当賃料額だとして供託してきました。月額6万円の賃料は、昭和55年8月に増額されて以来据え置かれたものです。賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除することはできるのでしょうか?

戦前からの借地なので、借地法の問題となります。借地法では、貸主から地代増額請求があれば、請求時に当然に適正額に増額されることを前提にして、借地権者は、増額を正当とする判決の確定まで、支払額が結果的に適正額に不足していても「相当ト認ムル」賃料を払えば債務不履行にはならないと規定されています。
ただし、判決が確定したときは、不足額および年1割の利息を支払わなければなりません。「相当ト認ムル」額は、借主が主観的に相当と認める額でよいとされています。ただし、公租公課の額を下回ることを借主が知っていた場合は、債務不履行になるという判決も出ています。よって、今回の場合も契約解除の可能性があるといえます。

更新料は必ず支払わなければならないのか不動産賃貸借トラブル

昭和40年代に、期間30年でソバ屋に土地を賃貸しています。近く契約期間が満了するので、契約更新の際に1㎡当たりの時価10万円の10%の更新料を払ってほしいと求めましたが、支払ってもらえません。この更新料は必ず支払ってもらえるものではないのでしょうか?

今回の場合、昭和40年代からの契約なので借地法が適用されます。借地法では、契約期間が満了するに伴い、更新料を支払って契約の更新をするという制度はなく、地主側が更新を拒絶する正当な事由がないときは、同一条件で契約の更新を行うことになっています。
ただし、借地契約は何十年にも及ぶ継続的な関係なので、地主との間を円満に保つために、借主から地主に更新料が支払われる場合もあります。賃借人にとって納得いく額の更新料になるよう、金額について協議を重ねるとよいでしょう。その際、たとえ折り合いがつかなくても契約を解除することはできません。

どのような場合に地主は更新拒絶をすることができるのか不動産賃貸借トラブル

50年以上借地人に土地を貸しており、その借地人は借地に家を建てて暮らしてきました。借地人が借地期間満了の3カ月前に文書で借地契約の更新を請求してきたのですが、「結婚する子どもの家を建てるので、期間満了後は家を取り壊して明け渡してくれ。」と伝えました。借地人に出て行ってもらうことはできますか?

法律では、借地上の建物が存在している限り、借地期間の満了に伴い借地人が契約の更新を請求した場合には、前契約と同一の条件で更新され、地主に「正当の事由」がある場合に限って更新を拒むことはできるとしています。
ここで言う「正当の事由」とは、地主が自分で土地を使う必要があるなどの場合をいい、今回のように子どもの家を建てるという理由は、自己使用の必要がある場合ということができるでしょう。しかし正当の事由の判断は、地主側の主張だけでなく、借り手側の土地を必要とする理由との比較考量によって結論を出さなければなりません。よって、地主の「子どもの家を建てる」という理由だけでは、地主側に正当の事由があるとはいえないでしょう。

借地を無断で譲渡された場合、契約解除できるのか不動産賃貸借トラブル

先代に土地を貸し、現在はその長男がその土地に家を建て住んでいますが、地主に無断でその家をレンタルDVDショップに売られてしましました。この場合、契約を解除することができますか?

他人のものを借りて利用している者は、貸主の承諾なく他人にその賃借権を譲渡することはできません。これに違反すると、貸主は賃貸借契約を解除することができると民法に規定されています。
ただし裁判所は、無断譲渡があっても地主と借地人との信頼関係が破綻しない「特別の事情」があると認められる場合には、地主は借地契約を解除できない、としています。
信頼関係を破綻しない「特別の事情」とは、借地人の個人経営を法人組織に改めただけ、譲渡人と譲受人が同居の親族である、譲渡などが一時的ですぐに元に戻る、といったものが挙げられます。今回の場合、承諾なくレンタルDVDショップに改造されていたという悪質な案件ですから、地主と借地人の間の信頼関係は破綻されたものと考えられ、契約を解除できるでしょう。

定期借地権付きの建売住宅を買っても大丈夫か不動産賃貸借トラブル

手頃な値段で建売住宅売りに出ました。広さも住環境も申し分ないのですが、定期借地権付きということが気になります。

この建売住宅は借地の上に建っているのですから、敷地の所有者である地主に地代を支払う必要があります。定期借地権とは更新のない借地権なので、契約期間が終了したら地主に土地を必ず返さなければなりません。
なお、定期借地権には、①一般定期借地権、②建物譲渡特約付借地権、③事業用借地権の3種類があります。
③の事業用借地権は、事業用の建物所有が目的なので、今回は関係ありません。
①の一般定期借地権の存続期間は50年以上です。一般定期借地権は、建物の再建による存続期間の延長がなく、借地人は地主に建物買取請求を行うことができません。
②の建物譲渡特約付借地権の存続すると借家契約が結ばれたとみなされ、地主は建物を買い取っても建物の住人に直ちに立ち退きを求めることはできません。

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2.家賃などのお金のトラブル不動産賃貸借トラブル

(1)家賃の不払い

契約上の義務を債務者が故意・過失によって、履行しない場合には、債権者は契約解除・損害賠償請求をすることができます。

家賃の不払いと債務不履行

借家契約が成立したら、借家人には家賃(賃料)を支払う義務が発生します。したがって、民法の一般原則によって、家賃の不払いがあった場合には、家主は借家契約を解除することができます。また、遅延損害金の約定があれば、損害金の請求ができます。
しかし、家賃の滞納があったからといって、わずかな滞納(たとえば1か月)があっただけで、借家契約の解除を認めると、借家人にとっては、非常に酷な結果となってしまいます。
そこで、判例は軽微な違反で家主と借家人の信頼関係が破壊されていない状況の場合には、契約解除は認められないとしています。

借家契約と信頼関係

例えば、たまたまその月の収入が少なく家賃の一部が不足した場合や支払期日が多少遅延した場合(2か月分の不払いを解除原因とする説がある)には、解除権は発生しないとされています。
しかし、判例の動向をみても、確固としたものはなく、ケース・バイ・ケースの判断によることになります。

契約解除の方法

家賃の滞納が、信頼関係を破壊するといえる程度に至っている場合であっても、その場ですぐに契約を解除することは認められません。
家主は相当の期間(1週間程度)を定めて、その期間内に支払えと催告をし、期間内に支払いがない場合に初めて解除が可能となります。
また、家賃の滞納を理由に契約を解除しても借家人が家屋を明け渡さない場合には、訴訟を起こして判決を得た上で、明渡しの強制執行をすることになります。

民法541条(履行遅滞による解除権)

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除をすることができる。

賃貸借契約解除までの流れ
賃貸借契約解除までの流れ

(2)家賃の増減額請求

家賃の増減請求ができる場合

契約で家賃を定めた以上、本来ならその額を守らなければなりません。
しかし、借地借家法は次のような事情の変更があった場合には、家賃の増額を請求できるとしています。
①土地もしくは建物に対する租税その他の公課の増減、②土地もしくは建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、③近傍同種の建物の家賃と比較して不相当となった場合

当事者間で話し合いが付かない場合

借地借家法では、話合いが付かない場合でも、いきなり訴訟を提起することは認めず、まずは調停の場で話し合うことになります(調停前置主義)。

家賃が決定するまでの間の家賃の支払い

話合いや調停では、結論が出るまでは、家主は相当とされる額(近隣の相場等を考慮)の家賃を請求し続けることができ、借家人も相当とされる額の家賃を支払えばよいのです。
そして、最終的に新しい額が決定したら、額が決定するまでに支払われた家賃と、新たに決定した額に差額がある場合には差額分に年1割の利息を付けて互いに精算することになります。なお、一定の期間家賃の増減をしないとする特約がある場合には、増額を請求することはできませんが、この場合でも減額請求はできます。

共益費の増減請求

共益費とは、通常、マンション等の共有部分の管理費用のことをいい、廊下、トイレなどの掃除費用、エレベーター、冷暖房などの維持管理費などがこれに該当します。
共益費の増減に関して、契約に定めがあればそれに従うことになりますが、定めがない場合には、借地借家法32条の賃料増減額請求権の規定を類推適用することになります。

借地借家法32条(借賃増減請求権)

建物の借賃が、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済的事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較し不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

家賃の増減額請求の方法
家賃の増減額請求の方法
供 託

借家人が相当とされる家賃を支払おうとしても、家主が受け取らないときには、借家人は、相当とされる家賃を供託所に供託して、債務不履行責任を免れることができます。

供託の流れ
家賃の増減額請求の方法

(3)新しい家賃の決め方

家賃の増額請求、あるいは借家人の減額請求で、新しい家賃の額をいくらにするかは難しい問題です。
決着がつかなければ、最終的には鑑定評価に委ねることになります。

新家賃を決める話合い

家賃の増減の請求をする場合には、いくらの増減をするかを決める必要があります。家賃の増減の請求は、一般には形成権といわれ、一方的な請求により、その効力が発生します。借家人は新家賃の支払義務があるのですが、その額に不満であれば、新家賃が決まるまで、相当と思う額の家賃を支払うか、あるいは家主が受け取らない場合に、供託すればよいとされています。
しかし、通常は、家賃をいくら増減額したいということで、相手方と交渉することになります。この場合、相手を納得させるためには、家賃を増減額する根拠が必要となります。

家賃の相当賃料

借地借家法では、家賃が不相当となったときは、その増減を請求できるとしています。したがって、家賃の増減の場合には、相当賃料がいくらなのかが問題となります。
家主と借家人との話合いでは、隣近所にある同程度の借家の家賃との比較が最も分かりやすく、現実的なものでしょう。こうした事情は街の不動産屋がよく知っていますので、事前に話を聞いておくとよいでしょう。

鑑定評価による新家賃

どうしても話合いがつかず、調停の申立をした場合、通常、家賃の相当額の鑑定評価をすることになります。
相当家賃の算定方法には、①スライド方式、②利回り方式、③比準方式(賃貸事例比例方式)、④差額配分方式、⑤倍率方式などがあります。なお、鑑定評価については、不動産鑑定士が行います。

民事調停法24条の2 ②(家賃の増減額請求事件の調停の前置)

借地借家法第11条の地代もしくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立をしなければならない。

家賃の相当賃料の算定法
家賃の相当賃料の算定法

家賃増額等でトラブルとなった場合、鑑定評価によることとなります。
鑑定評価には、上記のような方式があるが、判例では、いずれか一つの方式を採用するのではなく、事情に応じて各方式を加味して評価します。

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3.契約違反トラブル不動産賃貸借トラブル

(1)使用目的違反と債務不履行

建物を貸す場合、その目的は主として居住用か営業用です。借主が当初の借りる目的を変更して使用した場合には使用目的違反となります。その場合、貸主から契約解除できるかが問題となります。

契約違反となる場合

借家などの賃貸借契約においては、賃借人は契約または目的物の性質によって定まった用法に従って使用収益しなければなりません。したがって、建物の使用目的は契約または建物の性質によって決まることになります。居住用に賃貸したのにその建物で営業している、職種を限定して賃借したのに職種の変更をしたなどの場合に問題となります。こうした使用目的違反の場合、貸主としては借家契約を解除できるかどうかが問題です。

使用目的の変更と契約解除

使用目的違反で契約解除ができるかどうかは、借家人と家主の間の信頼関係が破綻しているかどうかが判断基準となります。
信頼関係が破綻しているかどうかは、①特約の有無、②従前の経緯、③家主の制止の有無、④家主・借家人の事情、などを総合的に判断してなされます。

(1)居住用から営業用への変更
一般的には、契約の目的違反となりますが、その程度・対応によって契約解除が肯定・否定された例があります。

(2)営業用から居住用への変更
その程度・対応によって肯定・否定された例があります。

(3)営業用家屋で営業内容を変更した場合
営業内容の変更禁止あるいは家主の許可を必要とする特約がない場合には、原則として解除権は発生しません。特約がある場合には、解除権を肯定・否定した例があります。特約に合理性があり、解除の必要がある場合には、解除が認められるようです。

家屋の使用が汚いなどの場合

家屋の汚損・損傷が著しい場合で、注意しても改めないときには、契約解除ができます。家屋の通常使用による汚損の場合には、当然、契約解除や賠償請求は認められません。

民法594条(借主による使用及び収益)

①借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

借家の利用目的・用法違反者に対して契約解除ができるのか不動産賃貸借トラブル

所有するアパートの居住者に一定の秩序を守ってもらうため、用法制限の契約書を作成しました。契約書に基づいて、違反者には契約解除ができますか?

アパートや共同住宅で一定の用法制限を設けるのは、その特殊性からいって仕方のないことです。このような特約を求めるのは、建物全体の統一的利用、建物の品位保持のために必要なことです。したがって、借家人はこの用法を守る義務があります。
ただし、契約に当たって用法制限を特約した事実があるからといって、違反があれば直ちに契約を解除できるというものではなく、貸主と借主の信頼関係がその違反によって破壊されたか否かで判断しなければなりません。
「信頼関係の破壊」とは、居住用として貸したのに事務所や店舗として使用している、廊下に禁止されているものを放置する、犬や猫を飼うなどの事実があり、そのことに対する貸主の何度かの注意にも耳を貸さないといった場合のことを指し、これらの場合には契約を解除できるでしょう。

使用目的違反で契約解除できるか
使用目的違反で契約解除できるか

借家などの貸借関係においては、借主と貸主の信頼関係が契約の基になっていると考えられています。したがって、この信頼関係が破壊されれば、契約解除ができることになります。ただし、信頼関係が破壊されているかどうかの判断は難しく、実務上は、契約違反の程度、今までの経緯、家主・借家人の事情などを総合的に判断して、その有無が決められます。

(2)借家人の近隣妨害等と契約解除

近隣妨害と呼ばれるものには、①ペット飼育、②騒音、③借家人の暴力などがあり、最終的には契約解除できるかどうかが問題となります。

近隣妨害とは

アパートや賃貸マンションは、貸借人の共同生活であり、近隣住民に迷惑をかけないことも大切です。
こうしたことから、賃貸借契約書で「ペット禁止」や「ピアノ・ステレオ等の音で迷惑をかけない」などの迷惑行為の禁止の特約を結ぶケースが多くあります。

近隣妨害の禁止特約と契約解除

こうした特約は原則として有効です。違反があった場合には、家主は特約違反を理由に契約を解除することができます。ただし、違反の程度が軽微な場合には、契約解除が認められない場合もあります。

特約がない場合

前記特約がない場合はどうなるでしょうか。特約がないからといって、こうした近隣妨害が許されるわけではありません。
建物などの賃貸借では、賃貸借契約に基づく信義則上から、当事者に当然要求される義務があります。この義務に違反し、信頼関係が破壊された場合には、契約を解除できることになります。
どういうケースで契約解除ができるかについては、ケース・バイ・ケースであり、結局は判例を分析するしかないでしょう。

借家人が他の借家人を追い出せるか

借家人は建物を賃借しているだけです。したがって、隣の借家人に暴力を振るわれたとしても、その借家人に対して、出ていくようにいう権利はありません。こうした問題が生じた場合には家主と交渉することになります。家主は、苦情が出れば、対応せざるをえないからです。

民法1条(民法の基本原理)

①私権は、公共の福祉に適合しなければならない。②権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。③権利の濫用は、これを許さない。

借家人が近隣妨害等をしている場合

(3)借家権の無断譲渡・転貸

借家権(賃借権)の譲渡・転貸には家主の承諾が必要です。借主が無断で譲渡・転貸をした場合、家主は借家契約を解約することができます。

借家権の譲渡

借家権者(借家人)が借家を第三者に譲り渡すことです。

借家の転借

借家権者(借家人)が借家を第三者に賃貸することです。

借家権の譲渡・転貸と家主の承諾

借地借家法には、借家権の譲渡転貸についての規定はなく、民法の原則に従うことになります。民法では、借家権の譲渡や転貸をするには家主の承諾が必要であり、家主の承諾なしに借家権を譲渡したり転貸したりした場合には、借家契約の解除理由となります。しかし、判例は、借家権の無断譲渡や転貸があった場合でも、「背信的行為と認めるに足りない(家主と借家人の信頼関係が破壊されていない)」場合には解除権は発生しないとしています。

居住用建物の無断譲渡・転貸の場合

一般的には契約解除の原因となります。ただし、判例では、借家人が親族を同居(転貸)させる場合、あるいは内縁関係の解消に伴い譲渡・転貸が生じた場合には、契約解除は認められないとしています。しかし、この場合でも、借家人が転居するなどして独立した使用収益関係となった場合や、間貸しについて多額の権利金や高額の家賃を取るような場合には、借家契約を解除できるとしています。

営業用建物の無断譲渡・転貸の場合

この場合も、一般的には契約解除の原因となります。しかし、個人の事業所として建物を借りていたが会社組織にしたという場合には、借主に実質的な変更がないことから、契約解除は認めないとする判例があります。
一方、経営者(借家人)が交替し、経営の実権が第三者に移転し、実質はその者に賃借権が譲渡されている場合は、信頼関係が破壊されたとして契約解除は認められたケースが多いようです。

民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

①賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

借家権の無断譲渡・転貸と契約解除

家主に承諾なく借家権の譲渡・転貸をすれば、通常は契約解除の原因となる。

借家権の無断譲渡・転貸と契約解除

〔譲渡・転貸の家主の承諾と名義書換料〕
借家の譲渡・転貸は、家主が承諾しないかぎりできず、家主の承諾がある場合に限って可能です。この場合、名義書換料の支払いを条件に、譲渡・転貸の承諾がなされる場合があります。名義書換料の相場はないが、譲渡・転貸代金の1~2割程度が通例のようです。

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4.借家の修繕・リフォームトラブル不動産賃貸借トラブル

(1)借家の破損と修繕

借家に雨漏りなどの欠陥がある場合には、原則として家主に修繕義務があります。
修繕は借家人がするという特約がある場合は、通常、この特約に従うことになります。

借家の破損と家主の修繕義務

家主は借家を住居・店舗・事務所等の使用目的に従って、日常使用できるようにして借家人に貸す義務があり、欠陥がある場合には、必要な修繕をしなければなりません。
具体的には、雨漏り、外壁の破損、畳・建具の破損、窓の欠陥などで、普通に建物を使用するのに支障をきたす場合です。
このような破損は、地震などの災害であろうと借家人の不始末による場合とを問いません。ただし、借家人の不始末の場合には、その不始末を理由に損害賠償請求することになります。

借家人が修繕義務を負う場合

契約書に「修繕は借家人がする」などの特約がある場合があります。こうした特約は有効で、修理義務は借家人にあることになります。しかし、台風で借家の大部分が破損したというような場合にまで、修理義務はないとされています(判例)。というのは、こうした特約では、普通に使用する場合の破損が前提であり、台風などによる大損害まで考えてはおらず、原則に戻ることになるからです。

低家賃の場合

修繕義務は家賃と無関係ではありません。家賃には、修繕費も含まれると考えられており、近隣の家賃に比較してあまりに低家賃で修繕費も出ないというような場合には、家主には修繕義務はないとされています。

家主が修繕をしないとき

家主が修繕をしないときには、借家人には以下の2つの対抗法があります。
①借家人が修繕して、その費用を家主に請求。
②建物を利用できない割合に応じて、家賃の一部または全額の支払を拒む。

民法606条(賃貸物の修繕等)

①賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
②賃貸人が、賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人はこれを拒むことができない。

①修繕義務と費用の負担
借家の修繕と家主・借家人の義務

家主には、建物を日常使用できるようにして提供する義務があります。

①修繕義務と費用の負担

〔例外〕特別な事情がある場合は、家主に修繕義務はありません
※家賃が近隣に比べて格別に安い場合
※壊れている部分の修理が不可能あるいはそれに近い状態で、全体を修理しなければならず、
 家賃に比べてあまりにも過大な出費となる場合

②家主が修繕をしないとき借家人の対抗法
(1)家主に代わって修理
家主が代わって修理
(2)家賃の減額の請求
家賃の減額の請求

(2)建物の滅失・朽廃と借家権

建物(借家)が滅失・朽廃により、消滅したときには、その理由や責任が誰にあるかに関係なく契約は終了します。ただし、滅失の原因如何によっては損害賠償請求ができます。

建物の朽廃

朽廃とは、人工的にではなく、自然的な腐食状態によって社会的経済的効用を失った場合をいいます。建物の土台や柱などが破損し、壁等が剥落し、材料が腐食している場合には、その程度のいかんによっては朽廃となるとした判例があります。

建物の滅失

朽廃とは異なり、地震や風水害などの天災や改築のための取り壊しや火災のような人為的なものをいいます。

建物の朽廃・滅失と借家契約の終了

借地借家法には、借家の朽廃・滅失の場合についての規定はありませんが、この場合、借家契約は終了することになります。
判例によれば、「賃貸借の目的たる建物が朽廃しその効力を失った場合は、目的物滅失の場合と同様に賃貸借の趣旨は達成されなくなるから、これによって賃貸借契約は当然に終了するのを相当とする」(最高裁昭和32年12月3日)としています。要するに、貸した目的物(建物)がなくなったのだから、契約は終わり、ということなのです。

火災による借家の消滅

借家人の過失で借家が消滅しても重過失でないかぎり、借家人に対して不法行為による損害賠償責任を問うことはできません(失火ノ責任ニ関スル法律)。したがって、隣近所へ被害を与えたとしても賠償する必要はないのです。しかし、家主には、契約が終了した場合に家屋を返還してもらう権利がありますので、借家人に対して債務不履行として損害賠償請求をすることができます。
なお、借家人でも家主でもない第三者の放火等によって建物が消滅した場合、借家人はもちろん家主も事件を起こした相手に対して不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

民法415条(債務不履行による損害賠償)

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責に帰すべき事由によって履行することができなくなったときも、同様とする。

アパートを建て替えたいが、立退料で追い出せるか不動産賃貸借トラブル

アパートが老朽化したので建て替えたいのですが、借家人の数人が立ち退きに応じてくれません。立退料を支払ってアパートから出て行ってもらうことは可能ですか?

借家人が立ち退きに同意しないからといって、力ずくで立ち退かせることはできません。まず、当事者間で話し合いをし、話がまとまらなければ裁判所に民事調停を申し立てます。調停が不可能な場合、最終的には借家人に対し明渡し訴訟を起こし、勝訴判決を取るしかありません。訴訟において、定期借家契約、取り壊し時に契約を終了する特約をした取り壊し予定の借家契約、一時使用の借家契約の場合を除けば、裁判所は家主側に正当事由があるかどうかで判断します。立退料の支払いという財産上の給付は、判断材料となる正当事由を補完するものとなります。

建物が朽廃・滅失したときはどうなるか
建物が朽廃・滅失したときはどうなるか

(3)借家の無断増改築・リフォーム

家主に無断での増改築は保管義務違反として債務不履行となり、契約を解除することができます。

増 築

既存の建物に建物部分を追加するか、別の建物を追加すること。

改 築

建物本体を変更すること(屋根全体の葺き替え、壁の撤去、建物の移動など)。

模様替え

小規模で原状回復することが容易な改装。

借家の増改築の原則

借家の場合には、建物の所有権は家主にあり、借家人がこの建物を家主に無断で増改築することは保管義務違反あるいは用法義務違反として債務不履行となります。無断で増改築を行った場合には、原則として借家契約の解除が認められます。
しかし、借家人のこうした違反行為が、家主に対する信頼関係を破壊する程度ではないと認められたときには、契約の解除は認められません(判例)。
なお、単なる模様替え(壁紙の張り替えや壁の塗り直しなど)では契約解除の原因とはなりませんが、模様替えといいながら、実際は増改築に該当するような場合などでは問題となります。

解除が認められたケース

家主と借家人の信頼関係が破壊された場合です。判例では、無断増改築が建物の構造を変更する大規模なものである場合、あるいは、家主が増改築を何度となく制止したにもかかわらず強行した場合などの事案で契約解除を認めています。

解除が認められなかったケース

家主と借家人の信頼関係が破壊される程度でない場合です。判例では、行政当局から汲み取り式の便所を水洗便所にするように指導を受けたが、家主が水洗便所にしないために借家人が改造した事例、内装が古くなり(14年経過)内装工事を行った(同時にバーから洋装店に営業の変更)をした事例などがあります。

民法400条(特定物の引渡債務における保存義務)

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者はその引渡しをするまで善良なる管理者の注意をもってその物を保存しなければならない。

借家権の無断譲渡・転貸と契約解除

家主に承諾なく借家権の譲渡・転貸をすれば、通常は契約解除の原因となる。

借家権の無断譲渡・転貸と契約解除

〔増改築の許可と承諾料〕
借家の増改築は家主の承諾が必要で、無断増改築をすると債務不履行で契約解除の原因となります。家主の承諾に際して、授受されるお金を承諾料といいますが、通常、家主は増改築の許可はしないのが実情です。
〔工事禁止の仮処分〕
家主の制止にもかかわらず、借家人が増改築工事を進めている場合には、裁判所に工事禁止の仮処分の申立をして増改築を中止させることができます。

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5.借家権の相続等のトラブル不動産賃貸借トラブル

人の死亡によって相続は発生します。現金、預金、株式、負債、不動産の他、借地権などの権利や、賃貸人としての法的地位も相続財産に含まれます。

借家権の相続

借家契約の途中で、借家人が死亡した場合には、借家人の相続人が借家権を相続することになります。実際には、相続人が数人いる場合には遺産分割協議で借家権の相続人を決めてもらい、家主に通知してもらうことになります。
このような場合、借家権が借家人から相続人に譲渡されるとして、承諾料を請求したり、名義の書き換えが必要だとして名義書換料の名目で金銭の支払いを要求したりする家主がいることがあります。しかし、相続によって借家権が移転する場合には譲渡とはいえず、地主の承諾や、名義書換料の請求は認められません。

同居の内縁の妻や養子の保護

借地借家法は同居していた事実上の夫婦(内縁関係)や事実上の養親子の借家権(居住用に限る)の承継を認めています。ただし、この規定が適用されるのは、相続人がいない場合だけです。したがって、現行規定では、相続人が他にいる場合には、同居の内縁の妻や事実上の養子が借家権を承継することはありません。

家主の地位の相続

家主が死亡して、貸家が相続人に相続された場合には、家主としての法的地位も相続人に相続されます。したがって家主の相続人は、家賃を借家人に請求することができます。
なお、家主の地位の相続は、権利の相続だけでなく、義務も相続します。したがって契約が終了したような場合には、敷金の返還義務なども相続します。

借地借家法36条(居住用建物の賃借権の承継)

居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻または縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。(但書略)

借家人の死亡後、その内縁の妻に借家の明け渡し請求はできるのか不動産賃貸借トラブル

借家人が亡くなった後も、その借家に内縁の妻が一人で暮らしています。内縁の妻には、その家に住む権利があるのでしょうか。明け渡し請求できるのでしょうか?

土地の賃貸借でも建物の賃貸借でも、賃借人が死亡したからといって賃貸借契約は終了しません。その借家権は、借家人の相続人が相続します。その場合、相続人が相続することについて、家主が承諾するかしないか意見を述べることはできず、名義書替料などを請求することもできません。つまり借家権は、借家人の死亡により当然に承継される権利です。
今回の場合、借家人の死亡後に住んでいるのは内縁の妻であり、法律上の相続人ではありません。しかし、借家権を相続できないからといって、夫の死亡により借家から退出しなければならないというのは気の毒です。そこで、借家人に相続人がいない場合には、その借家人と同居していた内縁の妻や事実上の養親子関係にあった者が借家権を引き継ぐことが、借地借家法で認められています。したがって、内縁の妻であったことを理由にして、借家の明け渡しを請求することは不可能でしょう。

借家権の相続
①借家人の相続人が相続する場合
①借家人の相続人が相続する場合
②相続人がおらず、事実上の配偶者や養親子が承継する場合
②相続人がおらず、事実上の夫婦・養親子が承継する場合 PAGE TOP

6.借家期間中のその他トラブル不動産賃貸借トラブル

建物の賃貸借では、特約の規定などをめぐりトラブルとなることがあります。
ここでは、起こりがちなトラブルについて解説します。

特約をめぐるトラブル

賃貸借契約を締結する場合に、契約書などで特に定めた条項を特約といいます。契約の内容は、お互いの合意によって定まります。
こうした特約は、従来からその有効性をめぐって争いとなったケースが多々あります。
特約の有効性は、借地借家法などの法規に違反しないかどうか、あるいはその特約に合理的な理由があるかどうか(その特約を定めたことがもっともであるという理由が必要)が判断の基準となります。法令違反あるいは合理的理由がない場合には、その特約は無効ということになります。

事前に家主に相談してもらえるようお願いしておくこと

借家契約は、通常、長期間続くものです。したがって、その間には、借家人も部屋の改築をしたい、造作をつけたいなど、さまざまな問題が生じます。
こうした場合、家主に事前に相談してもらうよう約束しておくことが大切です。

隣近所との問題

アパートや賃貸マンションでは、隣近所とのトラブルも多くあります。
その建物の全体を管理するのは家主であり、家主に依頼された管理者(管理会社)ですので、問題があれば家主や管理会社に相談してもらうようにしましょう。
入居者同士の個人と個人の問題にするよりも、建物全体の管理と考えてもらうことが大切です。

個々の争いの解決方法はさまざま

借家に関するトラブルは借地借家法のみで解決できるというものではありません。多くの法令がからみます。借家は家という重要な生活基盤の問題でもあります。こじれる前に、専門家に相談するなどの早めの対処が必要です。

借家で起こりがちな問題こじれる前に早めの解決を・・・。
①子どもができたので出ていってほしい

→子どもができたことを理由に借家契約の解除はできません。また、契約書に同趣旨の特約があったとしても、公序良俗に反することになり無効となるでしょう。

②男子禁制なのに男子が出入りしている

→通常のアパートなどでこうした誓約は無効となると思われます。ただし、女子大の寮などの場合で、その誓約が居住者間の共同生活を維持する観点からみて合理的理由がある場合には有効となる場合があります。

③貸している建物の周囲の敷地を使っている

→一般の借家の場合、借家人は貸借建物を本来の目的に従って使用するほか、常識上当然とされる必要な範囲において敷地も利用できます。

④貸していた建物を競売した

→抵当権が設定される前に賃貸した場合、賃借人はそのまま使用できます。抵当権設定後に賃貸し競売手続き開始前から使用していた賃借人は競売人買受時から6カ月間明渡の猶予を与えられます。なお、抵当権者の同意を得れば継続して使用することもできます。

⑤不注意で借家人が火事を出した

→借家が全焼であれば借家権は消滅します。ボヤ程度で修理が可能な場合には、借家権は消滅しませんが、注意義務を著しく怠ったとして、契約を解除することができる場合もあります。なお、全焼の場合もボヤの場合も、家主には債務不履行に基づく損害賠償請求権が発生します。

⑥家主の変更に伴って賃借人に出て行ってもらいたい

→家主の側に正当事由がなければ解約できません。場合によっては、賃借人から損害賠償(慰謝料)の請求がされる場合もあります。

⑦借家人が家財道具を残して蒸発

→遺留品に価値がなく、捨てていったと思われる時には処分はしても問題ありません。ただし、勝手に捨てていったと決め込むことは禁物で、後に本人が出てきてトラブルとなる可能性もあります。法的処置としては、適当な場所に保管し、動産の競売申立をして、その収入から滞納賃料や保存費を差し引き、残りは供託するということになります。

⑧天井からの漏水で部屋が水浸しになったとのクレーム

→上階の人の不注意(過失)により漏水したのであれば賃借人からその住人に対して損害賠償請求をすることになります。建物に問題(排水管の詰まりなど)があった場合には家主に責任がありますので、賃借人から損害賠償の請求がなされることが考えられます。建物に問題がある場合、賃借人から建物の修理請求もなされるでしょう。

⑨賃借人の留守中に室内に入った

→勝手に部屋に入ることは家主といえどもできず、住居侵入罪に該当します。ただし、ガス漏れがしているときなど緊急の場合は、室内に立ち入り適切な処置をすることができます。

⑩毎晩、隣室の麻雀の騒音に悩まされているとのクレーム

→家主は騒音を出す借家人に注意し、それでも改めないときは、違反の程度によって契約解除ができる場合もあります。

⑪共同の水道で洗車する人がいる

→管理規約で定めがない場合には、洗車する借家人の責任を追及することは難しいでしょう。新たに、洗車に関する規定を盛り込んだ規約(水道料の負担)を作成することになります。

⑫釘やビョウを打つことを禁止する特約は有効か

→釘やビョウを打つことを禁止する特約には、建物を大切にする、以後の賃借人に不愉快な思いをさせない等の合理的な理由があり有効といえます。ただし、違反したからといって、それだけで契約を解除することは難しいでしょう。

賃借人がアパートを退去した場合、敷金全額を返さなくてはいけないか不動産賃貸借トラブル

「2年間住んだ借家は丁寧に使い、畳の色あせなどを除けば破損や汚れもないはずだ」と賃借人が主張しますが、畳や壁を張り替えなければ次の人に貸せないわけですから、敷金から差し引いてしまいたいと考えています。契約書には「借家人は原状回復のうえ立ち退く」と書かれていますが、自然損耗分まで賃借人に負担させることはできないのでしょうか?

年月の経過による畳の色あせ、壁・天井の汚れといった自然損耗分の修繕義務は、家主側が負います。その費用まで、借家人の敷金を当てることは通常許されません。家主が敷金で自然損耗分を修繕した場合、借家人はその分の敷金額を請求できます。
敷金は、借家人の家賃滞納、借家人の故意・過失で破損した壁や畳、床、襖などの修繕費、原状回復費用などの支払いを担保するため、借家人が契約時に家主に預けておく金銭です。賃貸借契約が終了し、借家人が借家から立ち退く際、家主はこれらの損害を差し引き、借家人に差額を返還しなければなりません。

賃料を値上げしたい不動産賃貸借トラブル

現在賃貸しているマンションの契約更新の際、家賃を2割引き上げたいと考えていますが問題ないでしょうか?

通常、賃借人は従来の家賃を引き続き払うことで、家賃の値上げを拒否したまま現在のマンションに住み続けることが可能です。もし家主が家賃を受け取らず、立ち退きを求めた場合、賃借人は妥当と思う家賃をマンションの住所地を管轄する法務局に供託するという対応をとるでしょう。家主側が家賃増額の調停や裁判を起こしたとしても、その裁判が確定するまでは、借家人は供託により家賃を支払ったものとみなされます。ただし、裁判が確定して新しい家賃が決まった場合には、供託家賃との差額に年1割の利息を付けて支払ってもらうことができます。
家賃は、不動産価格の値上がりや、それに伴う租税公課の増額、近隣の家賃より著しく安い場合など、法律上も値上げが認められています。
家主が一部であっても受け取ると言っているのに、トラブルがあるという理由で賃借人が全く支払いをしない場合は家賃滞納になります。

定期借家の契約期間が過ぎるのに賃借人が立ち退かない不動産賃貸借トラブル

賃借人から、現在住んでいる家の契約を更新したいと言われました。契約書は確かに、定期借家契約となっており、「期間満了後は、直ちに家を明け渡す」と書かれています。更新を拒絶することはできますか?

一般的に、家主は正当な事由がない限り、借家契約の更新を拒めません。定期借家契約は、その例外で、借家人は契約期間満了後に借家の明け渡しが義務付けられており、契約の更新は原則できません。ただし、契約書のタイトルや内容が「定期借家契約」となっていても、それだけでは定期借家契約とは認められず、法律で定められた要件と立ち退き請求の手続きが必要になります。
まず法律上の要件としては、公正証書等による書面で契約をすること、契約前に更新のない契約であることを家主が借家人に書面を交付して説明すること、が挙げられます。定期借家である旨の説明をしない場合には、「更新がないこととする」という定めは無効になります。
次に立ち退き請求の手続きですが、契約期間が1年以上ある場合、家主は期間満了の1年前から6カ月前までの間に、借家人に対して「契約期間満了により建物の借家契約は終了する」ことを通知しなければなりません。その通知を通知期間内にしなかった場合、契約の終了を借家人に対抗できません。なお、通知期間経過後でも家主がこの旨の通知をすれば、借家人に通知が届いてから6カ月経過すると、借家契約終了の効果が生じます。

家主が替わった場合に借家権はどうなるか不動産賃貸借トラブル

友人から建物を購入しました。契約当時、建物には借家人がいましたが、友人によると借家人は間もなく立ち退く予定ということでした。そのため、借家人に対して立ち退いてくれるよう言ったところ、借家人は立ち退きの話は聞いていないと主張して、立ち退こうとしません。友人は借家人に何も話をしていなかったようです。この場合、どうすればよいでしょうか?

建物の所有者が借家人に無断で家を売ったとしても借家人の承諾はいっさい必要ないので、そのことに対して借家人から何らかの請求をされたとしても、原則として家主には対応義務はありません。建物の譲渡があった場合の新所有者と借家人の法律関係は、一般の賃貸借の場合と異なります。
借家人は保護されており、建物の引渡しを受けていれば、借家人としての地位を建物の新所有者に対抗できるとされています。この場合には、これまでの建物賃貸借契約の内容通りの関係が、借家人と新所有者との間で継続することになります。立ち退きを迫られ生活に恐怖を覚えるなど、生活に支障をきたして意に反して明け渡さざるをえないような場合には、前所有者に損害賠償を求める場合もあるでしょう。

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7.賃貸借トラブルに対する解決方法不動産賃貸借トラブル

借家のトラブルと解決方法

(1)家賃増減額請求トラブルと解決方法

家賃は他人の建物を借りて利用する対価として支払われる金銭です。
家賃は契約で定められますが、契約成立後でも一定の場合には、増減額請求が認められています。

家賃の増減額請求の手続き

契約で定めた家賃でも、事情によってはその後に額を変更することもできます。額の変更について、当事者間で話し合いがつかない場合には、まず、簡易裁判所に調停の申立を行います。調停をしないで、いきなり訴えを提起しても原則として調停に付されることになります(調停前置主義)。
調停で当事者の合意ができた場合には、調停調書が作成され、この調書は判決と同じ効力を持ちます。
一般の調停の場合には、合意ができなければ調停は不調ということで終ります。しかし、家賃の増減に関する調停の場合には、特別な手続きが認められています。
調停委員は、合意が成立する見込みがない場合や、成立した合意が相当でないと認めた場合には、調停申立後に当事者間において調停委員会の定める調停条項に服する旨の合意(書面)がある場合に限って、適当な調停条項を定めることができます。そして、その調停条項が調停調書に記載されると、調停が成立したものとみなされるのです(民事調停法24条の3第1項)。
この記載は、裁判上の和解と同じ効力を持つものとされます(民事調停法24条の3第2項)。

家賃と供託

家主からの家賃の増額請求に対して、借家人が増額に応じず、それまでどおりの家賃の額を払おうとしても家主が受け取らない場合があります。
こうした場合には、借家人が供託所(法務局・支局・出張所)に供託することで、債務不履行責任を問われることを回避することができます。

家賃のトラブルと解決手続

家賃の増減額のトラブルは、まず簡易裁判所に調停を申し立てます。

家賃の増減を請求できる場合(借地借家法32条)

①土地・建物の租税公課の増減
②土地・建物の価格の上昇・低下等の経済事情の変動
③近傍同種の建物の家賃等の比較

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(2)契約違反トラブルと解決方法

契約違反といってもさまざまなものがあります。借家契約の違反で主なものは、家賃の不払い、使用目的違反、無断転貸、近隣への迷惑行為などでしょう。

家賃の滞納と契約解除

家賃の滞納は、借家契約の債務不履行(履行遅滞)に当たります。民法上は履行遅滞があった場合には、家主は相当の期間(借家人が金銭を調達してくるための期間)を定めて家賃を支払うように催告をし、それでもなお支払がないときは、契約を解除できることになります。しかし、契約を解除することは容易ではないのが実情です。
家賃の滞納があった場合には、いきなり契約の解除を求めるよりも、何とかして未払い分を回収することを考えるべきです。
家賃も金銭債権ですから、一般の債権回収と同様に、簡易裁判所を通して支払督促の制度を利用するなどの手続きが可能です。
しかし、借家契約の場合には、今後の関係も踏まえたうえでの対応が必要となります。未払い分が支払われたら、その後も家主と借家人として契約関係を継続させようという場合は、事を荒立てずに解決するのが得策です。裁判所を利用する場合でも、調停を利用して、調停委員を交えて話合いで決着を図るなどの配慮も必要になってくるでしょう。

契約解除と明渡し

借家契約で定められた建物の使用方法に違反した場合や、家主の承諾なしの賃借権の譲渡や転貸については、借家契約の解除の問題が出てきます。大雑把に言えば、借家人に信頼関係を破壊するような違反行為があれば、借家契約を解除できることになります。軽微な違反では信頼関係が破壊されたとはいえず、契約解除はできません。
契約解除、明渡しに借家人が応じない場合には、調停あるいは訴訟といった法的手段をとることになります。

家賃の滞納があったときに、家主や保証会社が催告状や督促状を借家入口に張り付ける行為は、不法行為となる可能性があります。家賃の支払い状況はプライバシーに関する情報であり、張り紙により不特定人に知られる状態にすることは、名誉を毀損する違法な取立となります(大阪地判H22.5.28)。

契約違反のトラブルと解決手続

相手方の契約違反では、迅速に手を打つことが重要です。

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(3)更新トラブルと解決方法

借家契約の更新に関して最も問題となるのは正当事由の判断です。家主の側から更新を拒絶するには、かなり厳しい条件が付されています。

更新しない旨の合意

借家契約を締結する際には、多くの場合は貸す側の立場が強い傾向にあるようです。そこで、家主の事情によっては、貸した建物が借家期間満了によって必ず返却されるように、契約書に「更新を認めない」などという条項(特約)を入れることがあります。
このような特約は、借家人に不利な特約として無効となります。最初の存続期間が満了した後に、更新契約の際に「更新は今回に限る」という特約を付した場合でも同じです。
ただし、定期借家契約の場合は期間の満了で契約は終了し更新はありません。

立退料の支払いと更新拒絶

正当事由の判断の際に、家主からの建物明渡しと引換えに借家権者に対して財産上の給付をする旨の申出が問題になることがあります。
ここでいう財産上の給付とは一般に言う立退料のことですが、立退料を支払えば、それで更新を拒絶できるというものではありません。立退料の支払いは、あくまで補助的な正当事由の一要素に過ぎないからです。

更新拒絶と裁判手続き

家主は更新を拒絶したいが、借家人は更新を認めてほしいという場合には、まず話し合うことが大切です。しかし話合いがつかなければ、法的手続きによって解決するしか方法がありません。
結局は、家主が建物明渡しの調停あるいは訴訟を起こすことになります。
訴訟になった場合には、裁判所は家主に正当事由があるかどうかの判断をすることになります。

更新の拒絶・更新料のトラブルと解決方法

更新をめぐるトラブルには、更新拒絶の問題と更新料の支払いに関するトラブルがあります。

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(4)建物明渡トラブルと解決方法

借家契約が終了する場合に問題となるのは、立退料の算定、造作買取請求権の有無、造作買取が認められた場合の買取額の算定などです。

立退料の算定

立退料は、借家契約の更新拒絶や家主からの解約申入れの際に、家主に正当事由が不足しているときに、正当事由の補完として支払われる金銭です。
立退料を算定する場合には、借家権価格と併せて借家が営業用に利用されていた場合の営業補償が問題になります。
借家権価格の算定は、本来は土地鑑定委員会が設定した不動産鑑定評価基準に基づいて行われるものです。それによれば「慣行的に取引の対象となっている当該経済的利益の全部または一部」とされています。具体的には、比準方式、収益還元方式、割合方式などの算定方法がありますが、明確な基準はなく、専門家である不動産鑑定士に相談することが一般的です。割合方式とは、土地の更地価格を100として地主、借地人、借家人にそれぞれ帰属する割合を配分する方法です。例えば、路線価地域での借家権価格は、路線価格(税務上の土地評価額)×借地権割合×借家権割合となります。この借地権・借家権割合は、相続税評価基準を基にします。
営業補償の額についても明確な基準はなく、借家権の価格も含めて話合いで決定されることが多いようです。

造作買取請求権と買取価額

造作買取請求権は認められる場合には、その買取価額の算定が問題となります。
この場合の買取価額は建物買取請求権行使時の時価相当額とされています(大審院昭和7年9月30日判決)。そして、時価とは、「建物に付加したままの状態で、造作自体の本来有する価格」(大審院対象15年1月29日判決)とされています。現実問題としては、争いとなれば、鑑定評価を依頼するしかないでしょう。なお、借地借家法の施行により、造作買取請求は任意規定となり、特約により排除すれば家主は買い取らなくてもよいことになりました。

更新拒絶・明渡しのトラブルと解決法

明渡しの争いでは、正当事由や造作買取請求権が問題となります。

更新拒絶・明渡しのトラブルと解決法

※潜在的な問題に関しては、契約書を取り交わしておくのが得策です。

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8.賃貸借トラブルに対する解決方針不動産賃貸借トラブル

(1)当事者間の話合いによる解決解決方針

賃貸住宅のトラブルは、当事者が賃借人と賃貸人あるいは賃借人同士であるという、いわば身近な関係で発生することから、いったんこじれると感情も絡んだ複雑な紛争となる要素をはらんでいます。したがって、トラブルが生じた場合、迅速に解決することが大切です。
しかし、住居という生活の基盤をめぐるトラブルは、双方の言い分もあり、解決が難しいという側面もありますので、お互いの立場を理解して、話し合っていくことも重要です。賃貸人と賃借人との関係において、法がお互いの信頼関係を重視しているのもそのためです。
また、法律ではどうなっているのかを知ることも重要です。自分の素人判断だけでなく、専門家である弁護士に早めに相談することをお勧めします。法律の専門家を通じて円満な解決を図ることが、最も望ましいでしょう。

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(2)支払督促の申立てによる解決解決方針

支払督促は、申立人の申立てに基づいて裁判所が金銭の支払を命じる制度です。
具体的には、賃料支払い・敷金返還など金銭債務の履行を相手がしない場合に、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促の発付がなされます。その後も支払いがなければ、仮執行宣言の申立てをすることにより相手の財産に対して強制執行をすることができます。
ただし、相手が異議の申立てをすれば、訴訟に移行します。

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(3)調停による解決解決方針

民事調停は、裁判所の調停委員会(裁判官1名、調停委員2名)の仲介によって、相手方との話合いをすることによって、トラブルを円満に解決する手続きです。民事調停は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。調停委員会は双方の話を聞いて、最も適当な解決方法を考え、これを当事者に提案します。当事者双方の話合いがつけば、調停調書が作成され、これは判決と同様の効力をもちます。ただし、話合いがつかなければ、調停は不調ということで終了しますので、訴訟などの他の解決方法を考えることになります。
賃料の増減額の請求に関しては、調停前置主義の下、調停を経ないでいきなり訴訟を起こすことはできません。

借家紛争と調停の活用

家賃の増減額について家主と借家人の話合いが付かない場合には、いきなり訴訟を起こすのではなく、その前に調停を申し立てなければなりません。争いが解決した後も当事者は契約関係を継続していくのですから、訴訟でやり合うことはできるだけ避けようということなのです。その他一般的な借家紛争であれば、いきなり訴訟を起こすこともできます(例外として、借家権をめぐる親族間の相続紛争であれば家事調停の申立をします)。

調停の申立と話合い

調停は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。申立書は裁判所に用意されています。
調停の申立がされると、裁判所から相手方に対して呼出し状が送達され、相手方が出頭して話合いが始まります。話合いといっても、原則として当事者が相対して話し合うことはなく、両者別々に呼び出されて、それぞれが調停委員に自分の主張を話すのです。
調停手続きは裁判官1人と、調停委員2人(調停委員会)によって行われ、1回で話合いがつかない場合には、数回に分けて行われます。

調停調書の作成

調停委員は双方の主張を聴いて、アドバイスするなどして意見の調整を図ります。そして調停案を出してくれます。この案に当事者が合意した場合には、調停調書が作成されます。この調停調書は裁判における判決と同じ効力を持ち、これに執行文の付与を受ければ強制執行も可能です。
当事者が互いの主張を譲らず、話合いが不調に終わった場合には、訴訟を提起することができます。

訴え提起前の和解

紛争当事者は裁判を起こす前に、裁判所(簡易裁判所)に和解の申立をし、裁判所の勧告により成立した内容を調書に記載してなす和解で、即決和解ともいいます。現実には、民事執行のための債務名義(和解調書)を目的として利用されているようです。

民事調停の流れ

訴訟と比べて、穏便に済ませることができます。

民事調停の流れ 賃貸借トラブルに対する解決方針トップへ

(4)訴訟による解決解決方針

訴訟は、裁判官が法廷で双方の言い分(主張)を聞いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって解決を図る制度です。双方の主張が食い違い、話合いによる解決が困難な場合の最終的な法的手段で、判決の内容を実現するために強制執行ができます。
訴訟の申立先は、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所です。訴訟の目的の価額が140万円以下の場合には簡易裁判所、140万円を超える場合には、地方裁判所に申し立てます。また、少額訴訟という制度があります。これは一回の審理で判決を言い渡す迅速な手続きで、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる制度です。

訴訟の起こし方

訴訟を起こすには、まず、訴状を裁判所へ提出しなければなりません。裁判所には管轄があり、その事件を管轄する裁判所へ訴状を提出する必要があります。
訴額(訴訟の目的となるものの価格、相手に請求したい金額)が140万円以下の場合には簡易裁判所が管轄で、140万円を超える場合には地方裁判所が管轄となります。また、簡易裁判所が扱う訴訟には少額訴訟というものがあり、これは訴額が60万円以下の場合です。
つぎに、申立先は原則として訴える相手の住所地を管轄する裁判所です。借家の紛争については、その借家のある住所地を管轄する裁判所へも訴訟の申立をすることができます。

訴訟の進行

訴訟は訴状の提出から始まり、これが裁判所で受理されると、当事者(原告・被告)が呼び出されて口頭弁論期日が開かれます。
口頭弁論期日では、お互いが主張を戦わす(証人尋問や証拠資料の提出などもなされる)ことになり、こうしたやりとりが繰り返されて口頭弁論は終結し、判決となります。
なお、訴訟の進行途中で、裁判官が和解を勧めることがあります。これを訴訟中の和解といいますが、和解に応じるかどうかは、当事者の判断次第です。

判決の効力

判決が出てから2週間が経過すると、その判決は確定します。判決に不服な場合には、判決が出てから2週間以内に控訴ができます。
判決が確定すると、その判決をもとに強制執行をすることができます。例えば、家賃の滞納で勝訴した場合には、借家人の財産の差押え、給与の差押えなどにより強制的に支払ってもらうことができます。

強制執行

個人が相手方に直接、義務の履行を強制することはできません。こうした場合、債務名義(判決、和解調書、調停調書、公正証書、仮執行宣言付支払督促など)を得て、裁判所の執行機関に強制執行の申立をすることになります。

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